訪問者/恩田陸
- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2009/05/14
- メディア: 単行本
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まっとうなミステリだよ!『きのうの世界』みたいに、物語の結末が明後日の方向にとんでいってないよ!シンプルだが良く出来たゴシックサスペンスで、実に面白い。恩田陸はもう少し、こういった話を書くべきだと思う。いや頼むから書いてほしい。
西洋館にほとんど限定された舞台、登場人物達に暗い影を投げかける過去の事件、生者によって語られる死者の思い出、死体の出現、作中に出てくる映画、二転三転するプロット、不気味な余韻(しかし素直に「それもありえる」と頷ける)といい、大傑作とまでは言えないが、練られていて楽しめる。
山中に佇む壮麗な洋館。この洋館の女主人であり、偉大な実業家だった朝霞千沙子は三年前に、近くの湖で謎めいた死を遂げた。母親が千沙子の学生時代の後輩で、幼児の頃から彼女の庇護を受けて育った映画監督、峠昌彦も不思議な状況で死んだ。どうやら千沙子は母一人子一人の家庭の生まれの昌彦に、彼の父親は朝霞家と関わりの深い人間だと話しており、昌彦もそれを信じていたようだ。
嵐の夜、昌彦の遺言状が公開されるため、屋敷を訪れるものたちがいた。一方、館には訪問者を待ち受ける朝霞家の関係者達がいる。実業家と映画監督の死の謎、そして新たに館に転がる死体の正体とは。
彼女にしては珍しく地に足の着いた話。これは褒め言葉として意味で言っている。『木曜組曲』みたいに、映画になればいいなと思う。舞台劇にしても面白そうだ。
- 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
- 発売日: 2003/05/23
- メディア: DVD
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