愛されぬ花嫁でも／ニコラ・コーニック

愛されぬ花嫁でも (ハーレクイン・ヒストリカルスペシャル)

　『結婚は復讐のために』を読んで気に入った作家。この『愛されぬ花嫁でも』も凄く面白かった。まだ二冊読んだだけだけれど、ドラマティックな展開を得意とする作者らしく、ヒーローとヒロインがとんでもない事件に巻き込まれる。
　父母が相次いで亡くなり、天涯孤独の身となったヒロイン、カトリオーナ。カトリオーナに愛人にならないかと言い寄ってきたのは、放蕩者で名高い伯爵家の子息ニールだった。ニールに惹かれるところはあったが、愛人になって名を汚すのはごめんとおじの家庭に身を寄せるカトリオーナ。しかし、その家はアルコール依存症のおじエベニーザーが支配する、恐怖の家だった。美しく優しいいとこのエレンとは友達になりかけるものの、カトリオーナの出生の秘密と、酔ったエベニーザーの凶暴さから、ぶん殴られ、人殺しも辞さない悪漢の船へと引き渡されるカトリオーナ。なんとニールの別の理由から、同じ船に乗せられていた。二人はそのまま海の藻屑となるはずだったが、船が座礁したことから、生き延びるチャンスを手にする。
　無人島でどうにか生き伸びながら、二人の愛は深まっていく。
　コーニックの描くヒロインは、皆こんな風に波瀾万丈の人生を送っているのか。華やかなロマンス＆疾風怒涛のサスペンスに満ちた心地よきエンターテイメント。一時浮世を忘れさせてくれるにちょうどいい。

結婚は復讐のために (ハーレクイン・ヒストリカル・エクストラ)