水時計/ジム・ケリー
- 作者: ジム・ケリー,玉木亨
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2009/09/05
- メディア: 文庫
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うん……まあまあ。
帯にコリン・デクスターの讃辞があるため、アクロバッティングな論理が炸裂する作品かと思いきや、地味で真面目な本格ミステリだった。
晩秋、イギリス東部の町で氷結した川から車が引き上げられた。中には身元不明の惨殺死体。やがて町の大聖堂から白骨死体が発見される。こちらは何十年も前に生命を断たれたものと思しい。週刊新聞『クロウ』の記者、ドライデンは調査する。白骨は、ある犯罪の容疑者のもののようだった。
過去の罪は長い尾を引く。このテーマを男臭く乾いたタッチで描いたミステリと言って言えなくもない。デビュー長編、そしてシリーズものの第一作としてはもう少し癖や個性があってもいいかと思う。が、こういった渋い雰囲気、けれん味のなさを好む読者がいても不思議ではない。
文末が否定ばかりになってしまった。なんだか奥歯にものが挟まったような表現になってしまったが、はっきりと言えば、「当方の好みじゃないけれど、つまらないわけじゃない」一作。