恋人と呼ばせて/メアリ・H・クラーク
- 作者: メアリ・ヒギンズクラーク,Mary Higgins Clark,深町真理子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1999/06
- メディア: 文庫
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ロマンス小説のようなタイトルだが、実際にはサスペンスである(作中の会話から察して『恋人と呼ばせて』というラブソングがあって、そこからタイトルが取られたようだ)
メアリ・H・クラークは、初期の『子供たちはどこにいる』が図抜けた傑作。単に彼女の作品の中でも特別良くできているというに留まらず、現代の女性ミステリ作家の手によるサスペンスの中でも、屈指の出来栄えである。そののちに書かれた作品は、やや通俗味を増し、マンネリズムに陥ってはいるものの、どれもそこそこ面白い。
アメリカはバーゲン郡。検察官事務所の検事補で、離婚して幼い娘ロビンを一人で育てているケリーは戸惑っていた。交通事故に巻き込まれたロビンの治療のため、母娘は形成外科医チャールズ・スミスの元へと向かった。そこである女性の顔を見たとき、どこかで見た美貌だとケリーは既視感を覚えたのだ。やがて疑問は解消された。女はスミス医師の娘、シューザンに酷似していたのだ。シューザンはかつて夫であるスキップに殺害されたとされている。しかもスミスが手術を施し、シューザン瓜二つにした女性は一人ではなかった。医師である父親が、美容整形によって、殺された娘のそっくりさんを次々と生み出している。あからさまに不自然な事態に、ケリーは考え込む。やがてケリーはスキップの無実を信じる弁護士ジェフリーと知り合い、シューザン殺人事件を追うこととなる。
「彼は狂人なのか」、「殺人犯人は誰なのか」、「ヒロインの恋愛はうまく行くのか」、「なぜこんなうさんくさい人間ばかり出てくるのか」と疑問は尽きず、いくらか大味な作りながら、楽しみは盛りだくさんのミステリある。
- 作者: メアリ H.クラーク,深町眞理子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1980/10
- メディア: 文庫
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