あやまちは愛/トレイシー・アン・ウォレン
あやまちは愛 (二見文庫 ウ 6-1 ザ・ミステリ・コレクション)
- 作者: トレイシー・アン・ウォレン,久野郁子
- 出版社/メーカー: 二見書房
- 発売日: 2007/06/25
- メディア: 文庫
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奇妙なタイトルである。『あやまちは愛ゆえに』だとか、『愛ゆえのあやまち』だとかだったら分かるし、内容とも合っているのだが、『あやまちは愛』で潔く切っている。なぜだ。
「トラップ三部作」の第一作で、『愛といつわりの誓い』のヒロイン、ジーネットの双子の妹、ジャネットが主役となっている。
一卵性双生児でありながら、華やかで社交的な姉とは正反対の、清楚で内気なジャネット。彼女は、そのまだ短い人生の中で、もっとも大胆なことをしでかそうとしていた。
式の当日、いつも通りのわがままぶりを発揮し、「やっぱり結婚をやめた」と言い出した姉の身代りに、花嫁として式に出席し、姉の夫となるはずだったラエバーン公爵エイドリアンと結婚したのだ。姉の尻拭いのためではない。彼女自身エイドリアンが以前から好きでたまらなかったからだ。
エイドリアンとジャネットは結婚し、心から幸せな日々を送る。だが愛する夫に秘密を抱くゆえにジャネットはつねに心苦しく、そしてジャネットの言動に違和感を感じる人々も現れ、やがてエイドリアンの結婚生活は危機へと向かっていく。
平凡と言えば平凡なストーリーで、文庫本としても500ページ近い厚さなのだが、それでも凄く面白かった。作家として、ちなみにトレイシー・アン・ウォレンは、この『あやまちは愛』がデビュー作である。
「トラップ三部作」は、ジャネットの親友、内気な文学少女であるイライザがヒロインになるとのことだが、それも凄く楽しみである。
ヒロインの性格が丸い分、『愛といつわりの誓い』より受け入れる読者が多いに違いない。傑作。
愛といつわりの誓い (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)
- 作者: トレイシー・アン・ウォレン,久野郁子
- 出版社/メーカー: 二見書房
- 発売日: 2008/05/20
- メディア: 文庫
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