FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

インビテーション/カリン・クサマ監督

 これはクライマックスにおける「爆発」、そしてあのオチを含んでの感想となるが、どうも見る前の期待値が高すぎたためか、やや物足らないものを感じた。
 あるカップルが向かう一軒の家(この家に到着する前に、コヨーテと思しき動物を轢いてしまい、瀕死の動物を男が安楽死させなければならない場面が、すでに不吉さを高めている……)。
 目的の家に集まっていたのは、男の元妻と、旧友たち、そして見知らぬ男女。彼らの間で交わされる台詞、そして映し出される断片的な映像から、子供絡みの悲劇があり、離婚もおそらくそれが理由で、元夫婦のどちらもがまだ心の傷から立ち直っていないことが示される。
 そして男の知らない客である男女がカルト宗教の信者だと分かったときから、パーティーの雰囲気は一気に不穏なものとなる。
 不穏な空気が流れるが、なかなかストーリーが展開しない。しかし、この先にきっとすごいことが起きる、そんな期待を観客にさせる空気が絶えず漂っている……が、この「すごいこと」もちょっと物足りない感じではあった。あのオチ(同じランプを掲げている家はやはり皆殺人や心中をもくろんでいるのだろう)の効果もまあまあといったところ。