FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

トゥルースorデア~密室デスゲーム~/ロバート・ヒース監督

トゥルース or デア 密室デスゲーム [DVD]

 

 これを書くことは若干のネタバレになってしまうが、しかし書かなければ魅力も伝わらないだろうから書いてしまう。きびきびとひねりの聞いた筋の運びがうまく、そしてラストにはちょっと意外な結末が待っている。

 設定はありふれたものである。麻薬を用いた若者たちの享楽的なパーティーで、一人の若者が失恋し、またトラブルに巻き込まれた。

 やがていくらか時間が流れ、トラブルに巻き込まれた若者から、パーティーの参加者に誕生日パーティーの招待状が届いた。若者の実家は壮麗な屋敷。ここでゴシックホラーが始まるの、と期待していたが、あっという間にみすぼらしい小屋に舞台は移る(ちょっと残念)。そこで招待客たちは若者の兄を名乗る男に拘束され、意外な事実を聞かされた。

 パーティーの際のトラブルと、そして現在拘束されているものたちの誰かが出した心ない葉書のせいで、弟は自殺したというのだ。怒り狂っている兄は弟の復讐のため、招待客に死をもたらす残忍なゲームを強制する。

 若者の死は誰にとっても招待客の自殺は意外だった。招待客にとっても(そしておそらく観客にとっても)、失恋は確かにショックではあろうし、トラブルはあったもののささいなもののように感じられたから。

 やがて死んだ若者の兄の本性が透けて見えて来る。兄弟の実家はその土地では大変な名家、しかも兄弟の父親は軍人めいた教育を息子らに施していた。つまり兄は、弟の自殺を心から悲しみ復讐を誓ったわけではなく、また弟の心情を真に慮ったわけではなく、家の名誉が傷つけられた、面子が汚された怒りから、不埒な招待客に残酷なゲームで復讐をしようというのだ。

 彼らは必死に脱出、反撃を試みるが……。

 以下ネタバレ。

 (通常のホラー映画だったら必ず生き延びるであろう登場人物は死に、また早い段階で死ぬであろう登場人物が生き残る。悪女的気質で性的に積極的な女性はたいてい早めに殺されるが、この話では最後まで生き延び、しかも「真相」まで突き止める。若者が行った自殺、その直接の原因は、ある秘密を兄に知られることを恐れてのことだった。兄はその事実は知ってはいるが、弟の自殺の責任が自分にあると考えたくないため他人に押し付けた。悪女的ヒロインは自分とそして友人たちの仇をうち、地獄の小屋を脱出する

 ホラー映画ファンにちょっとお勧めのB級ホラー映画。