FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

QJKJQ/佐藤究

 第62回江戸川乱歩賞受賞作。Kindleを使っておりAmazonで作品を購入したのだが、レビューでネタバレ(の一部)をされて痛かった。このアルファベットを並べたタイトルも最初はただ覚えにくいという印象を受けただけだが、きちんと意味がある。
 語り手の少女、市野亜李亜(いちのありあ)は十七歳の女子高生。そして殺人鬼だが、それは家族全員が同じだった。ある日亜李亜は兄が惨殺されるところを発見し、そして母が消える。少女は一人残った父に疑いの目を向ける。
 家族全員が猟奇殺人鬼という奇天烈な設定の作品で、結末がやや都市伝説めいた方向へと向かう。少女の世界の真相はなんとなく察しがつくが、小説そのものの着地点はわりと飛んでいる。頭のおかしい世界を丁寧に描いており好感が持てる作品。