FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

坂木司リクエスト!和菓子のアンソロジー

 坂木司は「ひきこもり探偵」シリーズで挫折して以来、手を出していなかったのだが、若竹七海の傑作『静かな炎天』に『和菓子のアン』シリーズがある形で登場しているのを知り、何気なく手に取った。
 和菓子を題材に据えたお仕事ミステリなのだが、とても良かった!和菓子も食べたくなった!そしてこの『坂木司リクエスト! 和菓子のアンソロジー』も手に取った!
 これもとても良かったが、そろそろしつこいので、「!」は外す。タイトル通り、和菓子を題材としたアンソロジーで、ミステリから恋愛小説、そしてSFまで10の小説が収められている。
 日明恩(たちもりめぐみ)の果物どら焼き、近藤史恵のデーツと松露、柴田よしきの牛乳羹と泡雪羹……美味しそうな和菓子がたくさん出て来るが、もっとも食べてみたくなったのは松露だろうか。
 収録されていたお話の中では日明恩のミステリ「トマどら」がマイベスト。どら焼きを食べ続ける男性警察官のお話で、彼がずっとあるお店のどら焼きを食べ続けているのには理由がある。肝心のお菓子「トマどら」だが……この味はどうなんだろう?牧野修「チチとクズの国」もいい話だった。
 実は日明恩(たちもりめぐみ)の作品を初めて読んだのだが、とても面白かったので嬉しい。これから少しづつ彼女の作品を読んでいきたい。
 傑作アンソロジー。坂木司『和菓子のアン』、『アンと青春』もお勧め。