FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

ヘブンズ・ベール〜死のバイブル〜/フィル・ジョアノー監督

 あるカルト宗教の集団自殺から、たった一人生き残り、しかもすべての記憶を失った幼い少女。暗い過去を持つサラ・ホープは成長したのち、ドキュメンタリー映画の撮影クルーに頼まれ、かつてカルトグループが自殺を図った農場へ向かうこととなった。しかし異変が次々と起こる。
 いつも霧がかかったように周囲を見渡すことのできない農場の光景は、ヒロインの記憶、あるいは心象風景のようだ。教祖が教祖というより中年のロッカーのように見える、ヒロインと学生の皆さんがあんなに簡単に見つけることのできた問題の小屋を、プロフェッショナルである警察やFBIがなぜ見つけることができなかったのか、疑問や突っ込みどころはある、おおもと面白かった。
 特に「そもそもなぜ信者たちは集団自殺をすることになったのか」という謎の解にちょっとした意外性があり、楽しませてくれる。ちなみにこの解は、「なぜこの事件を担当したFBI捜査官が自殺したのか」の解ともつながっている。ややネタを割ってしまうが、「気が触れているから集団自殺した」とか、「FBI捜査官が自殺したのは教祖の怨霊のせい」とか、そういったものではなく、もっと現実的で、しかも前述の通り、ちょっと意外性のあるものである。
 なかなか面白いB級ホラー映画。