白鳥泥棒/エリザベス・コストヴァ
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『ヒストリアン』の作者、エリザベス・コストヴァの小説である。『ヒストリアン』は上下巻とも2冊以上持っているはずだが、家の中のどこにあるか分からないので、まだ読んでいない(図書館で借りて読むのが確実かも)。
この『白鳥泥棒』は典雅で長い小説である。時間があるときに、ゆっくりと余裕をもって楽しむのがいいだろう。
タイトルの「白鳥泥棒」とは、白鳥に化けたゼウスが、スパルタ王テュンダレオースの妻であるレダを誘惑したというエピソード、あるいはそれをモチーフにした絵画のことだが……この小説の中では、複数の意味はある。
色々な人物の語りで構成された小説だ。美術館の「レダと白鳥」を唐突に切り裂いた高名な画家、彼を担当する精神科医、画家の妻と弟子。時代を超えた語り手(書き手と言うべきか)もいる。
画家は犯行の理由を語らず、誰も知らない「黒い巻き毛の女」を描き続けるのだが、実はこの時代ではない別の時代にその女は存在していた。「黒い巻き毛の女」当人と、義理の伯父との間に交わされた書簡が小説に挟まり、二人の関係、その変化を見ることができる。
幾つもの恋、裏切り、陰謀が描かれる。はるか以前の時代に生き、今はもういない女性画家に恋とも妄執ともつかない感情を見せる画家が味わい深い。
- 作者: エリザベス・コストヴァ,高瀬素子
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 2006/02/22
- メディア: 単行本
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