FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

呪われたジェシカ/ジョン・ハンコック監督

 このブログで幾度か語ってきたが、死ぬまでに見たいホラー映画として、ジョン・ハンコック監督『呪われたジェシカ』、ワレーリー・ルビンチク監督『スタフ王の野蛮な狩り』、ジョセフ・ステファノ監督『シェラ・デ・コブレの幽霊』の三作品があった。
 このうちジョン・ハンコック監督『呪われたジェシカ』のDVDが二〇一五年六月から手に取りやすい値段で販売され、無事に見ることができた。
 ……すごく見たかった幻の映画である。購入はしたものの、すぐに見ることができなかった。期待が大きすぎるゆえ、実際に見たら失望するのではないかと心配だった。
 結局見た。
 結論から言うとこの映画、ありふれた秀作だった。
 決して悪くない。過剰な思い入れがなかったら、もっと楽しめただろう。
 精神病院から退院したばかりのジェシカ。夫や親友とともに、田舎へと向かう。
 義母の柩を抱えたまま、霊柩車で乗り付けた三人組を、閉鎖的な土地の人々はひんやりとした目で見ていた。この土地には無念の死を遂げた若い女性が、吸血鬼へと姿を変え、いまもさ迷っているという伝説があった。
 三人組の新居には、家出娘が無断で暮らしていた。三人組は、家出娘を受け入れ四人で暮らすこととなった。だが気になることがある。屋根裏に残されている、吸血鬼と変貌を遂げたという女性の写真は家出娘とそっくりなのだ。
 やがて不審な事件が立て続けに起こる。そして金銭面での困窮もあり、ジェシカは精神的に追い詰められていくのだ。
 ジェシカが狂っているのか。
 誰か人間が、ジェシカを陥れようとしているのか。
 家出娘が、本当は人ではなくて悪霊か吸血鬼の類なのか。
 原題が゛LET’S SCARE JESSICA TO DEATH゛(訳 さあ、ジェシカを死ぬほど怯えさせよう)なので、実は見る前に(夫と親友が家出娘と組んでいて、怪奇現象をでっち上げ、ジェシカを発狂させようとしている)というのが真相と思っていたが、最後まで見ると「そうでもないかも……」と思わせる。
 廉価版ゆえ幅広い層のホラー映画ファンが手に取りやすくなってなにより。

↑近い時期に発売されたアルフレッド・ソウル監督のホラー映画。興味はあるが、画質が悪いという意見もしばしば見るため、購入をためらっている。