FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

ヴァイオリン職人の探求と推理/ポール・アダム

 大満足!
 二〇一四年五月に出版されているのだが、そのときにすぐ購入して読めば良かった。
 音楽や音楽家や楽器について、なに一つ詳しくない私でもすごく楽しめた。作者ポール・アダムの才能は多彩で、本書のようなミステリから子供向けスリラー、そして映画やテレビの脚本も手がけているという。ミステリをもっと訳してくれ。
 すでに日本での刊行が決定している続編、とても楽しみ。パガニーニとナポレオンが絡む話ということは、パガニーニと浮名を流したこともあるナポレオンの妹達が登場するんだろうか。
 さて本書「ヴァイオリン職人の探求と推理」である。作者はイギリス人だが、主人公達が暮らしているのはイタリアで、事件が最初に発生しているのもイタリアである。
  イタリア。ジャンニは六十代初めのヴァイオリン職人。ある日、同業者で親友のトマソが殺される。その死には、幻のヴァイオリンが絡んでいるらしい。ジャンニは年下の友人である刑事グァスタフェステを助けて調査を始める。
 疑問に感じていることが一つある。
 あの結末だが、とある三つのヴァイオリンが登場する。あれは「師匠が作成した贋作→ディーラーに売り付ける。本物の名器→贈り物 自分が作成した贋作→焼却」でいいのだろうか。
 しかし最後の最後で、ジャンニが「楽器は敬意を払われてしかるものだが、それが人を欺くものならその価値を失う」旨のことを口にしているし。この解釈で合っているのだろうか。不安だ。