FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

貧乏お嬢さま、メイドになる/リース・ボウエン

 すごく面白かった。これまでの人生の中で、もっともツボにはまったコージー・ミステリの一つかもしれない。「英国王妃の事件ファイル」シリーズの第一作。シリーズ名がこれなのに彼女があまり目立たないな、と考えたらラストで存在感を放っていた。この英国王妃、ジョージ五世の妃メアリーだが、下記のウィキペディアでも分かるよう、史実でも相当強烈な個性の持ち主だ。ちなみにこの王妃、トム・フーパー監督『英国王のスピーチ』の主人公ジョージ六世の実母である。
 二十世紀の初頭、ジョージ五世の治世下のスコットランド。三十四番目の王位継承権を持つ公爵令嬢ジョージーは、古いだけの城で貴族とは名ばかりの貧乏生活を強いられていた。兄夫婦から顎のないルーマニア王子との縁談が持ち込まれそうになり、ジョージーはロンドンで働くことを決意し、家を(城を)出る。
 ところどころにはっとするような新鮮さがあり、まことに魅力的な世界観、そしてヒロインを含める登場人物達である。コージー・ミステリのミステリの部分も楽しめる。
 世にあふれるヒストリカルロマンスとはまた異なる英国貴族の世界であり、また公爵令嬢をヒロインに据えたミステリ&ロマンス小説である。身分が異なり、時代もやや異なるが、スーザン・イーリア・マクニールのマギー・ホープのシリーズを思わせる。
 とても良かった。シリーズの他の作品も、大切に読み進めていきたい。


ヒロインのボス、王妃のウィキペディアはこちら。王妃様、宝石強奪はないよ……
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%86%E3%83%83%E3%82%AF

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