羽男/マックス・ベントー
ドイツのサイコサスペンスである。
大きな感想は二つ。
とても読みやすかった。最後まで退屈しなかった。
そしてどこかで見た設定ばかりだった、小説内で起きる連続殺人事件の猟奇性と、その犯人像も含めて。
ミステリに限らず、すべての創作物に言えることだが、斬新であればあるほどいいというものではない。むしろエンターテイメント作品であるならば、ある程度の型を守っていなければ、受け手の方で楽しめないと考えている。
しかしこの『羽男』は一つの限度を越えて、あまりにも見たことある設定ばっかりで、改めて翻訳されて出版される必要性が感じられなかったぐらいだ。このありがちな、悪く言ってしまえば陳腐な設定ばかりでもわりに面白かったのだから、ミステリ作家の力量はないはずはないのだが。
ベルリン刑事局殺人課のトローヤンが調査することとなった、猟奇的連続殺人事件。髪を剃られた、惨たらしい死体の腹の中には潰された小鳥が入っていた。
シリーズの他の作品の方がずっと新鮮味があるんだろうなと期待させられる一作。