FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

アナと雪の女王/クリス・バック監督、ジェニファー・リー監督

 ディズニーアニメの真骨頂。
 冒頭から、男達が切り出す透き通った氷の美しさ、その冷たささえ伝わってきそうな質感に驚かされるが、それは序の口、触れたものすべて凍結させてしまう力を持つ若き女王エルサが凍てつかせた広大な海と動けない船団、雪に埋もれた山中に造り出す巨大な氷の城、エルサが身振りをすればヴェールのごとくつきまとう粉雪や氷の細かな破片のきらめき、そしてラストシーンで空に浮かぶ雪の結晶の華やかさ。
 実写かアニメーションかに関わらず、これほどエフェクトが見事な映画を見たことがない。この氷雪の美しさと、スクリーンから感じ取ることもできそうな冷たさは、エルサの自由と孤独とを表している。
 アンデルセン雪の女王』を下敷きにしているが、ストーリーはまったく違う。雪の女王に囚われた少年を少女が救うのではなく、雪の女王となった姉を、山男の青年(とトナカイと、雪だるま)の力を借りながら、妹である王女が救おうとするお話だ。
 アレンデール王国の第一王女として生まれながら、凍結の魔力を持つがゆえ、最愛の妹アナを含めて他者を傷つけるのを恐れ、自分でも自分の力を恐れ、孤独な生活を送っていたエルサ。もっともエルサの力を知らない(正確に言えば幼いときは知っていたのだが、トロールの魔法で忘却させられた)アナは、なぜエルサに拒絶されるのかわからず、やはり孤独を感じていた。
 国王と王妃である両親が亡くなり、アレンデール王国の女王に即位することとなったエルサは、アナのある行為を契機として魔力を皆の前で見せてしまい、夏の国を極寒に変えてしまい、たまらず山中に逃げ出した。
 しかし人目をはばかることなく、王家の女性としてふるまう必要もなく、凍結の力を存分にふるうことのできる山中での暮らしは、エルサに安心と解放感を覚えさせた。一方、アナはエルサに謝り、そして凍った国をもとに戻すため、トナカイを相棒とする山男の青年クリストフの力を借り、山中の氷の城を目指すのだ。
 美麗でロマンティックで、そして戦う少女達の物語。多分2014年度のナンバーワン映画。二番目がオリオル・パウロ監督のミステリ映画『ロスト・ボディ』(http://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/20140121
 第86回アカデミー賞の長編アニメ映画賞および歌曲賞の授賞作。
 興行収入もおそろしいことになっている(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140331-00000011-flix-movi
 本篇が始まる前に上映される短編アニメーション映画、ローレン・マクマラン監督『ミッキーのミニー救出大作戦』もお勧め。ミッキーマウスやミニーマウスがスクリーンの内外を自由自在に動き回ります。