FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

ステイ・クロース/ハーラン・コーベン

ステイ・クロース (ヴィレッジブックス)

ステイ・クロース (ヴィレッジブックス)

 久しぶりのハーラン・コーベン。日本で邦訳された長編に限れば、二〇〇六年にランダムハウス講談社文庫から出版されたノン・シリーズの『イノセント』以来だから実に六年ぶりである。
 そして期待に違わず、面白い作品だった。コーベンの最高傑作とまでは言えないが、良きサスペンス小説であり、切ない恋愛小説である。作者の持ち味であるユーモアの切れ味がいい。出色の出来栄えが拷問大好きの若く美しい男女、ケン&バービー。どう考えても狂人なのだが、外見や、生き甲斐を感じる仕事についているとき以外の立ち居振る舞いは、名前から察せられる通りである。
 有名人になりたいという顧客の要求を満たすため、雇われパパラッチ(金と引き換えに、クライアントにパパラッチとして付きまとう)男レイは、かつては大いに将来を嘱望された報道カメラマンだった。
 優しい夫と二人の可愛い子供とともに、プール付き邸宅に住まう女メガンは、かつてストリッパーだった。
 二人の人生を大きく変えてしまったのが、十七年前に起きたある男性の失踪事件だった。そして刑事ブルームは、十七年前からずっと、毎年決まった日に必ず男性が失踪していることに気付く。
 そしてまた町で、有力者の一人息子が行方を断った。そして全登場人物を巻き込み、事件は進んでいく。
 難を言えば、あるカップルが分かれてしまった理由だが、普通はもっと話し合い、お互いの状況を確認するものではないだろうか?
 早川書房さん、マイロン・ボライターシリーズの続きを出して下さい。