FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

映画 謎解きはディナーのあとで/土方政彦監督

 当方がコンビニエンスストアに行ったとき「謎解きはディナーのあとで」パンが販売していた。知人が眼鏡屋に行ったときには、「影山モデル」の眼鏡が販売されていたそうである。
 大人気のお嬢様刑事と、毒舌執事(安楽椅子名探偵)の大人気シリーズ、映画第一作。
 原作は東川篤哉。実は、東川篤哉の著作の中で、このシリーズだけ読んだことがない。嫌っているわけではなく、もう少し冊数が溜まってから一気に読もうと考えていたのだ。しかし、映画を先に見ることとなった。
 休暇のクルーズとして、シンガポール行き豪華客船「プリンセスレイコ」号に乗った宝生麗子と執事の景山。なぜか父親に止められていたため、麗子がこの船に乗るのは子供のとき以来だ。豪奢な休暇を楽しむつもりでいたが、世の習い(?)に従って、名探偵とワトソンの休暇は、休暇とならぬ。
 案の定連続殺人事件が発生し、同時に美術品盗難をもくろむ犯罪者達が暗躍する。今回の事件には、景山でさえ頭を悩ませる始末だった。
 登場人物の台詞の一部が立体的な文字としてスクリーンに乱舞したり、刑事や泥棒が寒いギャグを連発したりするなど、全体的にコメディ漫画を思わせる作品世界でありながら、本格ミステリとしての「謎と解決」はかなりしっかりしたものだ。
 正直に言えば、もっとライトな感覚のミステリを想像していたので意外だった。そして嬉しい驚きを感じた。
 連続殺人犯人と、伝説の怪盗ファントム・ソロスは同一人物なのか、同一人物だとしたらその正体は客船の中の誰なのか、そして不自然な形で見つかった被害者の死体にはなにか意味があるのか。
 特に「射殺された第一の被害者の、遺体の上から救命道具をつけた理由」、「刺殺された第二の被害者が、全裸でしかも土下座をするような姿勢でいた理由」には膝を打った。
 それにしても、某役者はひたすら美味しい役だ。
 映画がこの出来ならば、ドラマシリーズもきっと期待できるはず。
 頭の中のメモに「チェックすべし」と書き込む。