ひめごとは貴婦人の香り/エリザベス・ホイト
- 作者: エリザベス・ホイト,岡本千晶
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2011/07/08
- メディア: 文庫
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「四人の兵士の伝説」シリーズ、第一作。 復讐に生きるヒーローと言えば、プリンス三部作『せつなさは愛の祈り』のサイモンもそうだった。あれは傑作だったのだが、この『ひめごとは愛の祈り』はやや首を傾げた。ヒロインに婚約者がいるにも関わらず、ヒーローもヒロインもその辺りをまったく悩まず情事に耽り、おまけに異様に物分かり良く婚約者が身を引いてくれるのが非現実的でもあり、哀れでもある(もっとも、婚約者たるヴェール子爵は、シリーズ二巻『道化師と内気な花嫁』のヒーローなので、報われると言えば報われるのだが)。脇役がうまいのがエリザベス・ホストの美点なのに、これではいけない。
植民地ボストンで財を成した貿易商サム。彼がロンドンへと渡ったのは理由があった。商談や妹レベッカの社交界デビューといったものは、表向きの理由。実際の理由は、六年前のフレンチ・インディアン戦争で敵と内通し、味方を売った裏切り者を突き止め、制裁を加えるためだ。その裏切り者のため、味方のほとんどは殺され、生き残った者も拷問を受けた。
裏切り者の候補者リストの中には、美しき未亡人レディ・エメリーンの亡き兄レノーや、婚約者ヴェール子爵ジャスパーも入っている。サムは妹の付き添いを頼むことを口実に、レディ・エメリーンへと近付いた。だが、二人は本当に惹かれ合うことになる。
裏切り者とされる人間の正体はなかなかいいのだが、前述の脇役の扱いがホイトにしては雑。ちょっと悲しかった。
- 作者: エリザベス・ホイト,岡本千晶
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2010/04/10
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