FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

本日のお買い物

黒い睡蓮 (集英社文庫)

 

ミシェル・ビュッシ『黒い睡蓮』。名古屋創元推理倶楽部の課題本。

 

本日のがん検診

午前中で三つのがん検診を受けた。悪い結果が出ませんように。

サイコ2/リチャード・フランクリン監督(ネタバレあり)

 

サイコ2 [DVD]

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 アルフレッド・ヒッチコック監督『サイコ』およびリチャード・フランクリン監督『サイコ2』のネタバレがあります。ご注意ください。

 

 

 

 中途までは傑作である。アルフレッド・ヒッチコック監督『サイコ』の22年後、精神病院を退院したベイツが再び家に戻り、因縁のモーテルを再び開くというあらすじのホラー映画だが、前作である映画『サイコ』で語られた内容が大きく関わってくる。
『サイコ』でのベイツは、すでに死んだ母親がまだ生きていると信じ込んでいる狂気の殺人鬼だが、『サイコ2』ではその狂気は治療によってすでに消えたことになっている。だがまだ母が生きているとしか思えないメモや電話に苦しめられ、ベイツは次第に精神状態が危うくなっていく。彼の家で起こった連続殺人事件がベイツの犯行なのか、それとも別の誰かの手によるものなのか、観客にも最初は分からない。
 最初に中途までは傑作だと書いたのは、後半でややだれるとは言え、数々の怪異に出くわした、ベイツが取り戻したはずの正気がゆっくりと失われていく過程がじっくりと、しかも迫力をもって描かれていることと、この映画そのものに独特の雰囲気があるため、ベイツの孤独な土地に建つありふれた一軒家が、あたかも悪霊に憑かれた特別な城館のように感じさせる力があるからだ。
 感想が辛くなるのは、パート2にはよくあることとは言え、強引な後付設定があるためである。あのノーマの息子だったからこそベイツがあれほどおかしくなってしまったのに、「ベイツは実は養子で、ノーマの子ではありませんでした。頭がおかしいのは、狂人の息子だったからです」という無神経なオチが待っている。
 独特の恐怖のムードを持つ映画。あのオチは勘弁してほしかった。

 

サイコ [Blu-ray]

 

 

 

 

 

ザ・コレクター ~監禁地帯~/ラウロ・チャートランド監督

 

ザ・コレクター ~監禁地帯~ [DVD]

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 いかにもB級ホラーという邦題の映画だが、実際にB級ホラーである。トビー・フーパー監督『悪魔のいけにえ』以来、ホラー映画ではお馴染みの「若者グループが田舎に足を踏み入れてしまったら、そこが殺人鬼の跳梁跋扈する土地で……」というもので、良い部分も悪い部分も後半に詰まっている。この映画の場合、舞台となる田舎はアラスカの山の中である。
 寂れた山中の炭鉱町。山火事とがけ崩れで孤立したドライブ旅行中の若者グループは、ガソリンスタンドの二人の老婆が危険だと止めているにも関わらず、廃墟へ足を踏み入れる。そこには当然殺人鬼の棲み処で彼らは一人、また一人と生命を失っていく。
 ありふれた設定のホラー映画だが、後半のガソリンスタンドの場面からの疾走感はちょっといい。欠点は前述の通り、危機にみずから頭を突っ込んでいる登場人物たちの造形で、不必要なことをして被害を増やすヒロインの造形はがっかりさせられる。この欠点を流せるならばそこそこ面白いB級ホラー。

 

悪魔のいけにえ 公開40周年記念版 [Blu-ray]
 

 

 

 

 

 

本日のお買い物

 

みだら英泉 (河出文庫)

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ネット書店で買い物。皆川博子『みだら英泉』、図子慧『ラザロ・ラザロ 』。実は両方読んだことがあるのだが、ネット書店で見たら欲しくなって購入した。

 

ラザロ・ラザロ (ハヤカワ文庫JA)

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ズートピア/バイロン・ハワード監督 、 リッチ・ムーア監督

 

 

 

 ディズニーである。『アナと雪の女王』以来、久しぶりにディズニーの作品に触れる。友人から「ミステリとしても楽しめる」と聞いて見たのだが、最初に出た感想が「紛れもない刑事もののミステリだな!」というものだった。謎と解決、捜査とその過程、そして相棒もの、ロマンスものとして登場人物(動物だけど)のやり取りが楽しめる。
 草食動物と肉食動物が共存した大都市ズートピア。ウサギ初の警察官としてズートピアに配属されたジュディは、田舎出身の優等生が初の社会生活でぶつかる辛酸を舐めつつ警察官として働いていた。周囲からの軽い扱いに憤慨していたジュディだが、肉食動物の連続失踪事件を知り、その一匹であるカワウソの夫人が警察署を訪ねてきたことから、力を貸すこととなる。署内で浮いている彼女が相棒としたのは、かつて彼女を騙した、キツネの詐欺師ニックだった。
 動物が人間のように暮らしているが、そのまま擬人化したわけではないことが、登場人物たちの見た目から分かる。ジュディはウサギ初の警察官なのだが、なぜ先達がいないかと言えば、ウサギそのものが非力で小さい種で、警官に向かないからである。 
 この見た目、有する能力などから来る差別や偏見、そこから生まれる犯罪とジュディは戦うが、その差別感情はジュディ本人の内側にも潜むものである、ということがとても上手に表現されている。

 ズートピアは決して理想郷ではないが、葛藤を乗り越えた先にある将来もまた清々しく描き出されている。
 伏線の張り方、なにより小道具(例のニンジン)の使い方はここ数年で見たどの映画より上手かった。
 これは傑作。

霧の島のかがり火/メアリー・スチュアート

 

 

 『霧の島のかがり火』は論争海外ミステリの中の一冊で、これは若い女性を主役とした、殺人事件を含む冒険の物語である。と書くといかにも、ビクトリア・ホルトやフィリス・A・ホイットニーと並ぶゴシック系ロマンスの名手メアリー・スチュアートらしい作品に感じられるが、物語の舞台が舞台だけに登山描写が出てくるのが珍しい。
 ちなみにメアリー・スチュアートは優れたファンタジー作家でもあり、アニメ映画『メアリと魔女の花』の原作は同じく彼女である。
 ファッションモデルのヒロイン、ジアネッタが休暇の旅で訪れたのはスコットランドの霧深い山岳地形の島スカイ島。地元の若い娘が儀式めいた方法で殺害され、同じ旅行客の女性も殺される。もちろんヒロインにも危機が迫る。
 ロマンス(それほど濃くない)、サスペンス(十分な濃度)がともに楽しめる一冊。もっとメアリー・スチュアート翻訳&復刊してくれ。