FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

お嬢さん/パク・チャヌク監督(ネタバレあり)

お嬢さん(字幕版)

 


パク・チャヌク監督『お嬢さん』のネタバレがあります。まだ見ていない方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リンゴ・シエ監督『屍憶 −SHIOKU−』を見たとき、東洋である台湾を舞台にしたゴシックホラーも「いいな」と思った。パク・チャヌク監督『お嬢さん』を見たとき、朝鮮を舞台にしたゴシックミステリも「いい!」と思った。舞台は日本統治時代の朝鮮である。


 これは侍女に扮した詐欺師の少女と資産家の令嬢との騙し合い(と共闘)を描いた、パク・チャヌク監督の畢生の大作たるミステリ映画。詐欺師と令嬢、この二人の女性同士恋愛映画、官能映画という側面も強い。後半の奇怪で倒錯した「朗読会」も含め、始終耽美的な雰囲気が漂っている。
 去年この作品を鑑賞していたら、自分の中でこの映画とオリオル・パウロ監督『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』が首位を争っていただろう。

 

 

hachibinoneko.hatenablog.com

 


 サラ・ウォーターズの時代ミステリ『荊の城』を原作としており、設定やストーリー展開が変わっているのだが、そのアレンジがとてもうまい。浮世絵の使い方もうまい。
終盤での男性同士の戦いとその決着もついニヤリ。145分という時間がまったく気にならない。頽廃と清冽が溶け合った正真正銘の傑作である。

 

荊[いばら]の城 上 (創元推理文庫)

荊[いばら]の城 下 (創元推理文庫)

屍憶 -SHIOKU- [DVD]