FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

ラビット・ケージ 一年A組 殺戮名簿/木崎菜菜恵

 「なにか軽い感じのホラー小説が読みたいな」と思ったとき、ふと目に入ったので購入した作品。集英社オレンジ文庫というおそらく若い女性が主な読者であろうこの叢書に、「強制的にかつての校舎に集められたクラスメイト。着ぐるみを着た化け物が現れ、皆を殺していく」というB級ホラーそのまま小説が入っているのが不思議だ。犯人はもちろん「いじめられっ子」。
 肝心の出来栄えだが、それほど悪くない。この手の小説、しかもへぼいものだとただ殺しの描写のみに力が入っていたり、人間、そして人間関係の醜悪さがむやみに強調されていたりで、ストーリーらしいストーリーものすらないものがあるが、この作品は新しい部分はまったくないものの、読みやすさという点は抜群。ほとんどひっかかところがなく滑らかに読める。もちろん前述の殺戮や人間関係の醜悪さが入っている。友情と殺人鬼との闘いとともに。
 どうにかして生き延び、着ぐるみの殺人鬼と戦おうとする主人公グループのキャラ立ちもよく、そのうち売り出し中の美少年および美少女アイドル主演でホラー映画になるのではないかと思われるほどだ。
 ほんのわずか、本当にわずかながらロマンスの成分があり。いかにもホラーらしく、お約束のあれをやって終わった。