FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

屍憶 −SHIOKU−/リンゴ・シエ監督

 井上雅彦が監修していたホラーアンソロジー「異形コレクション」の28巻目は『アジアン怪綺(ゴシック)』だったが、ふとそのタイトルを思い出した、エキゾチックで恐ろしく、そして魅力的なホラー映画。ミステリとしての仕掛けもある。アジアのゴシックホラーもいいな。花嫁衣裳をはじめ赤の使い方で効果的でとてもきれい。
 日本・台湾合作ホラーだが、舞台は台湾で、登場人物もほとんどが台湾の人々である。TVプロデューサーの若い男性は恋人との結婚を控えつつ、死者との婚姻、土地の古い風習である冥婚について取材を進めていた。公園で赤い封筒を拾ったときから、彼の周囲に不思議な現象が起こるようになる。一方、霊感を持つ女子高生も周囲の超常現象に悩まされていた。一見なんの関係もなさそうな二人の運命の糸が絡み合ったとき、恐ろしい真実が明らかになる。
 美しく忌まわしい冥婚譚の佳作。韓国やタイのホラー映画は見かけるが、台湾のホラー映画はまだ見る回数は少ないので、他のアジアのホラー映画とともにもっと入ってきてほしい。