FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

ディープ・サンクタム/アルフレッド・モンテーロ監督

 スペインのホラー映画。フェイク・ドキュメンタリー形式の作品。
 失礼ながらさして大きな期待をせずに見始めたのが、これは思わぬ掘り出し物だった。モンスターや殺人鬼などはまったく出てこないが、それでも怖い。
 行先を誰にも告げずに旅に出た五人の若者たち。浜辺の遊びを満喫した彼らは、浜辺の近くに洞窟を見つけ、そのまま洞窟冒険としゃれこむ。ろくな装備も持たず、そしてやはり洞窟に入ったことを誰にも告げずに。
 鍾乳洞の内側は不思議な美しさを有しており、若者たちは驚き、喜んだ。しかし実のところ、彼らが入り込んだのは死の迷宮だった。中でさ迷い、外の世界へと戻る道をすっかり見失ったとき、彼らはようやくそれに気づいた。なんとか洞窟を脱出しようと試みるものの、決して電気や水分、食糧がつきていき、二人いる女性たちは特に体力を失っていく。誰も彼らがこの洞窟に入ったことを知っているものが外の世界にいないのだから、当然救助もやってこない。
 洞窟の中には彼らを襲ってくるのはせいぜいネズミぐらい、人以外の大きな敵はいないのだが、食糧になりそうな生き物もいないのだ。
 食糧がつきたとき、彼らは瀕死の仲間を殺し、残りの者で食べようとするが……。
 佳作。
 ところで、「大事な友人を殺され、自分も殺されかけ、二人目の食糧とされる寸前どうにか逃げ出し、たった一人だけ洞窟から脱出できた「あの人」は、今後どうするのだろう。彼らが洞窟に入ったことを知っている人間は、外の世界には他にいない。だから「あの人」がもし「他の四人とは旅の途中で別行動を取った、行方を知らない」と言い出したら、残るものは死んでからもあの洞窟を出ることができないのだ……」。