満潮(上)(下)/シッラ&ロルフ・ボリリンド
<マルティン・ベック>シリーズの映画を手掛けた脚本家夫妻が執筆したミステリ。とても読みやすく、陰惨なものも含め場面が想像しやすい。臨月の身体で砂浜に埋められ、拷問さながらにゆっくりと、ゆっくりと時間をかけて溺死させられた女性をめぐる事件。二十数年前亡父アルネがこの事件を手がけたと知った、警察大学の女子学生オリヴィアはこの事件を追う。
過去に起きた事件や現在起きた事件の真相、そしてアルネが娘オリヴィアに隠していた秘密は予想の範囲内だが、作中に出て来る犯罪で、上記の溺死以上に悪趣味でぎょっとするようなものがある。また動物好きにはつらい展開もあり。
上記の通り、比較的暗く、凄惨な場面も多いが、ヒロインの明朗さ健気さが小説を読みやすいものにしている。
シリーズ続編も訳されますように。