氷の双子/S・K・トレメイン
超常現象は出てこないが、読者に与える恐怖、ひんやりとした感じはすでにホラーの領域。幼い子供という、大人とはまた異なる生き物の不思議さ、恐ろしさを十分に堪能できる。またスコットランドの荒涼とした自然や、両親ですら見分けのつかない一卵性の双子という存在がさらに神秘性を高めている。
双子の娘の一人、六歳のリディアを失ったアンガスとサラ夫婦。二人は生き残った娘カースティを連れ、ロンドンからスコットランドの孤島へと引っ越した。だがカースティの言動がおかしい。自分をリディアだと言い出したのだ。分身のごとき姉妹を失って混乱しているのか、あるいは両親が本当に双子を取り違えているのか。
ここに夫婦が互いに抱いている秘密や、娘の死の真相が絡み、さらにサスペンス性を高めている。
ちなみにS・K・トレメインは歴史スリラー作家トム・ノックスの別名義。未読だが邦訳として『ジェネシス・シークレット』があり。
- 作者: トムノックス,山本雅子
- 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
- 発売日: 2010/10/09
- メディア: 文庫
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