サイコ2/リチャード・フランクリン監督(ネタバレあり)
アルフレッド・ヒッチコック監督『サイコ』およびリチャード・フランクリン監督『サイコ2』のネタバレがあります。ご注意ください。
中途までは傑作である。アルフレッド・ヒッチコック監督『サイコ』の22年後、精神病院を退院したベイツが再び家に戻り、因縁のモーテルを再び開くというあらすじのホラー映画だが、前作である映画『サイコ』で語られた内容が大きく関わってくる。
『サイコ』でのベイツは、すでに死んだ母親がまだ生きていると信じ込んでいる狂気の殺人鬼だが、『サイコ2』ではその狂気は治療によってすでに消えたことになっている。だがまだ母が生きているとしか思えないメモや電話に苦しめられ、ベイツは次第に精神状態が危うくなっていく。彼の家で起こった連続殺人事件がベイツの犯行なのか、それとも別の誰かの手によるものなのか、観客にも最初は分からない。
最初に中途までは傑作だと書いたのは、後半でややだれるとは言え、数々の怪異に出くわした、ベイツが取り戻したはずの正気がゆっくりと失われていく過程がじっくりと、しかも迫力をもって描かれていることと、この映画そのものに独特の雰囲気があるため、ベイツの孤独な土地に建つありふれた一軒家が、あたかも悪霊に憑かれた特別な城館のように感じさせる力があるからだ。
感想が辛くなるのは、パート2にはよくあることとは言え、強引な後付設定があるためである。あのノーマの息子だったからこそベイツがあれほどおかしくなってしまったのに、「ベイツは実は養子で、ノーマの子ではありませんでした。頭がおかしいのは、狂人の息子だったからです」という無神経なオチが待っている。
独特の恐怖のムードを持つ映画。あのオチは勘弁してほしかった。