霧の島のかがり火/メアリー・スチュアート
『霧の島のかがり火』は論争海外ミステリの中の一冊で、これは若い女性を主役とした、殺人事件を含む冒険の物語である。と書くといかにも、ビクトリア・ホルトやフィリス・A・ホイットニーと並ぶゴシック系ロマンスの名手メアリー・スチュアートらしい作品に感じられるが、物語の舞台が舞台だけに登山描写が出てくるのが珍しい。
ちなみにメアリー・スチュアートは優れたファンタジー作家でもあり、アニメ映画『メアリと魔女の花』の原作は同じく彼女である。
ファッションモデルのヒロイン、ジアネッタが休暇の旅で訪れたのはスコットランドの霧深い山岳地形の島スカイ島。地元の若い娘が儀式めいた方法で殺害され、同じ旅行客の女性も殺される。もちろんヒロインにも危機が迫る。
ロマンス(それほど濃くない)、サスペンス(十分な濃度)がともに楽しめる一冊。もっとメアリー・スチュアート翻訳&復刊してくれ。