アメリカン・ゴシック 偽りの一族
今年はミステリ運がついているようだ。とても面白いミステリ小説をたくさん読むことができたし、ミステリ映画、ミステリドラマにも良質のものを多く見ることができた。この『アメリカン・ゴシック 偽りの一族』もその一つ。
全12話、DVD6枚の続き物のミステリドラマである。
最初は濡れ場の過激さが売り物のドラマかと思っていたが、最後に近付けば近づくほどミステリとして興味が増していく。明らかになった犯人、そして犯人を示す随所に張られた伏線、伏線とはまったく気づかず、目で見て耳にも入れていたのに、気にも留めず流してしまったあれらこれらに「ああ」と言わされる。
オリオル・パウロ監督『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』も伏線の仕込みが良かった。
さて『アメリカン・ゴシック 偽りの一族』である。
アメリカ、ボストン。ボストンの富裕階層の人間を椅子に拘束して絞殺し、傍らにベルを置いて去る連続殺人鬼シルバーベルキラー(通称SBK)が人々を戦慄させていた。
14年後。名家ホーソーン家。コンクリート産業で財を成してきた彼らだが、父が倒れ、14年失踪していた長男が戻ってくる。そして父は死に、様々な理由からホーソーン家の人々はSBKが一家の誰かだったのではないかと疑われるようになり、また一家でも互いに互いを疑うようになる。
そしてお約束通り、SBK再来のような殺人事件が起きるのだ。
最後のあれはあってもなくてもいいが、満足度の高い作品。