FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

月明かりの男/ヘレン・マクロイ

月明かりの男 (創元推理文庫)

 

 鳥飼否宇の解説は「ここ数年のヘレン・マクロイ人気には目を見張るものがある」と始まる。

ふと調べてみると、ベイジル・ウィリング博士シリーズの長編は全13作品のうち、実に12作品までが邦訳されている。残った作品『The Long Body』も2018年に刊行が予定されているので、結局ベイジル・ウィリング博士シリーズは2018年にはすべての作品が邦訳されることとなる。

 この『月明かりの男』は12番目に邦訳された作品である。この邦訳の順番は、この作品に関しては、作品の質に関係があると思わせる。大学内の殺人事件を扱ったもので、のちも妻となる女性ギゼラが初登場するなど、決してつまらないとは言わない。しかし先に邦訳された『小鬼の市』や『逃げる幻』に比べ、彼女特有の暗さと華やかさを併せ持つ魅力、そして単純に謎解きの面白さがやや劣る。

 『The Long Body』はどうなんだろう。不安と期待が同時にある。

 

小鬼の市 (創元推理文庫)

逃げる幻 (創元推理文庫)