月食奇譚/春泥(ネタバレあり)
考えればブログを書き始めて以来、BL漫画の感想をアップするのはこれが初めてかもしれない。怪奇と耽美を併せ持つBL漫画である。ネタバレするので、未読の方はご注意下さい。
大正時代の推理小説の鬼才にして、九人の少年を殺めた殺人鬼、黒岩。彼は自分が殺した人間たちの生まれ変わりに、同じ方法で殺されなければ死ぬことはできない、呪われた不老不死の存在だった。かつてのみずからの手で殺めた被害者の生まれ変わりたちに惨殺されながら、現代の日本で生きていた。だが黒岩の最後の被害者で恋人だった少年が転生し、現代で出会ったとき、破滅の幕が上がる。
猟奇的な描写も多いので読者を選ぶであろうが、ゴシックロマン大好きな当方にとってはツボをつかれた思いだった。主人公の黒岩は大正時代の推理小説の大家だが、作者本人のペンネームは江戸川乱歩『陰獣』に登場する小説家から採用したのだろうか?
似たところのある作風のBL漫画を挙げれば辰巳ドロ子『醒めない夢』もお勧め。