死体は笑みを招く/ネレ・ノイハウス
ネレ・ノイハウスの「オリヴァー&ピア」シリーズ、邦訳第4冊目である。これまで日本で出版された作品を考えると、デビュー作『悪女は自殺しない』はさっぱり面白くなくて、読み進めるのには苦労した。それより前に先に邦訳された『深い疵』と『白雪姫には死んでもらう』はとても面白かった。
『死体は笑みを招く』はちょうどその中間点といったところだ。『深い疵』や『白雪姫には死んでもらう』ほどの強い印象は受けないが、力を抜いて読むことができる。そして時系列が先の作品をすでに読んでいるため、主要登場人物の、特にオリヴァーのこの巻での環境を読むとなんとも言い難い感想が浮かんでくる。
動物園で殺された男パウリ―。高校教師であり、環境保護活動家でもある彼を巡り、周囲の人間関係は緊張していた。ピアに接近するある容疑者の真意が分からず、最後まで振り回される。