終わりなき道/ジョン・ハート
ジョン・ハートの最高傑作と言いたくても言えないのは、『アイアン・ハウス』を読みきってないからだ(途中で挫折した)。しかし2016年に読んだ翻訳もののミステリの中でもっとも面白い作品だということは断言できる。
骨太。
そしてややこしいストーリーが繊細にして、克明に描き出されている。
登場人物たちは誰もが多面的な顔を持ち、彼らが遭遇した事件、そして抱えることとなった秘密にも、本人でさえ知らないような、幾つものさらに深い秘密が隠されている。
白人の女性刑事エリザベスは少女チャニングを誘拐し、監禁していた黒人男性たちを拷問のすえ殺したと世間から非難されていた。エリザベスの元同僚の警官はある犯罪を犯したとして収監されていたが、刑務所からようやく出所したが、被害者家族が彼を狙っていた。そして彼が犯したとされるものによく似た殺人事件が発生する。
その他の登場人物のそれも含め、彼らの進む道がやがて1つに集まっていくのだが、そのとき現れた真実、その意外さ、醜悪さに驚くはず。
傑作。2016年ナンバーワンの座はまず動かないだろう。