ささやく真実/ヘレン・マクロイ
精神科医ペイジル・ウィリング博士もののシリーズの1作である。出来はまあまあといったところ。
華やかでエキセントリックな美女クロ―ディアが開いた悪趣味なパーティー(なにせ、クローディアの夫マイケルの元妻フィリスが参加者の1人だ)。もっと悪趣味な趣向は、クロ―ディアが参加者の1人である化学者から盗み出した、自白作用のある薬をパーティーの参加者たちに騙して飲ませことだ。みな本音をさらけ出したが、クロ―ディア当人を含めて幸福になった人間はいなかった。やがて殺人事件が発生する。
ヒロインとも言えるクロ―ディア、その衣装や持ち物のきらびやかさはいかにもヘレン・マクロイらしい筆致で描かれている。もちろん人格や個性も。
謎解きは、人間の持つある感覚を主題においたもの。
『ささやく真実』も面白かったが、ギゼラ・フォン・ホーエムネスが初登場する¨The Man in the Moonlight¨も翻訳されると知り、楽しみにしている。