FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

真ひきこさん/永岡久明監督

 このタイトルだが、吉川久岳監督『ひきこさんの惨劇』
http://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/20160805
と同じく「ひきこさん」は登場するものの、ストーリー上の直接の関連はない。そのため、これだけ見ても楽しめる。
 この『真ひきこさん』、ストーリーは結構面白いのだが、いかんせん役者の演技が下手過ぎる。皆さんおおもと下手だが、もっとも下手なのが被害者の一人の父親役の役者で、かつて小学生時代に遭遇した、惨劇と互いの存在をすっかり忘れていた友人グループが再会する契機を作るキーパーソンの1人なのだが、「観客には見えないものの、どこかに隠したカンニングペーパーをそのまま読み上げているだけではないか」と疑われるほど下手だ。
 息子を若くして亡くした悲哀、親しい友人だったはずの若者たちが、死んだ息子を含めて各々の記憶をすっかり失っているという怪現象に対する恐怖と憤りがさっぱりと伝わってこない。
 繰り返し書くが、映画そのものはいい。物語は中盤で、ある意外な事実が分かったときから膨らみをまし、ラストの寂寥感もなかなかのムードを醸し出しているが、前述の父親が登場するくだりで、たくさん脱落者を生んでいないか心配だ。
 小学生の少年少女グループは、かつて「ひきこさん」と呼んでいたなにかに襲われ、一部のものは生命を失い、残るものたちはそのときのすべての記憶を失った。
 だがある家に招かれたことを契機に、再び互いの存在を思い出す。あのとき、なにが起きたのか。当時の担任の力を借り、怪異の本質に迫ろうとするが、当時の記憶を取り戻したものから怪女に襲われていくのだ。
 ちょといいホラー映画。