FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

人間臨終図巻(下)/山田風太郎

 新潮社から文庫として出版されたサマセット・モーム『ジゴロとジゴレット モーム傑作選』を読んだとき、たいそう驚いたものだ。サマセット・モームは長編も短編も代表作は一通り面白く読んだはずだったのに、新たにその面白さに感じ入り、恐ろしいほど衝撃を受けたからだ。
 この『人間臨終図巻』の上巻、中巻、下巻を読んだときにも同じ衝撃を受けた。
 山田風太郎は、小説をたくさん読んでその良さを知っているはずだった。しかしノンフィクション(と読んでいいのかな)もまた別格の面白さを有していた。
 あらゆる有名人物の死を綴ったこの本ほど興味深く愉快な本は、一生に何度と出会えるものではない。眠れない夜更けに読むのもよし、ふと手が空いたときに心に残った死のページを読むのもよし。とにかく楽しめる。
 この稀代の書の感想を、世にも陳腐な言葉で締めたいと思う。神様、いるとしたらお願いです。死ぬときはなるべくあっさりと、楽に死ねますように。……この書読んでを同じことを真摯に願った人は大勢いるのではないか、と密かに妄想している。

↑どれもがめちゃくちゃ面白い!