FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

グッドナイト・マミー/フランツ監督 、フィアラ監督

 すべて入りきらなかったが、監督はヴェロニカ・フランツ ゼヴリン・フィアラの2人。
 密かに「童心と恐怖」と名付けている映画の一群がある。ロバート・マリガン監督『悪を呼ぶ少年』、フィリップ・リドリー監督『柔らかい殻』、ガブリエーレ・サルヴァトーレス監督『ぼくは怖くない』、ギレルモ・デル・トロ監督『パンズ・ラビリンス』もこの範疇に入るかもしれない。まだまだあるかもしれない。
 子供ゆえの残酷。
 子供ゆえの無垢。
 そして子供ゆえの知識の欠如。
 そうしたものがよく描写されているホラー映画の中で、「おそるべき子供たち」ものとは限らず、子供が加害者であることもあれば被害者であることもあり、共犯者、そして傍観者の場合もある作品。
 このジャンルでは比較的目にすることが少ないオーストリアの映画で、とにかく風景が美しい。森。とうころこし畑。川。そして豊かな自然の中にある別荘は、いかにも内装が洗練されていて都会的。
 この別荘に双子の男の子と母親が暮らしている。母親は手術のためとやらで、美しい顔を包帯で覆い隠している。そしてわが子であるはずの双子への態度が、双子からみればおそろしいほど理不尽なものになっていた。
 やがて双子は、自分と暮らしている女が、本物の母親なのか疑い始める。
 ある狂気が膨らんでいくのが圧倒的。
 察しの早い方なら序盤で真相が分かるであろうが、それでも最後まで見せる力を持つ映画。ゴキブリがたくさん出て来るので、苦手な人は注意だ。そして後味は、お世辞にもいいとは言えない。
 秀作。

柔らかい殻 [DVD]

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↑どれも素晴らしいホラー映画