劇場霊/中田秀夫監督
少女の血を浴び、永遠の美と若さを保とうとした「血の伯爵夫人」ことエリザベート・バートリの伝説と、呪われた人形と、演劇界をめぐる少女たちの確執と、すべてを一つの映画の中に入れたら、うまく混ざらず、どうにも雑多になってしまった作品。これはむしろエリザベート・バートリの伝説を絡めなかった方が、すっきりとしたのではないだろうか。
愛娘二人を、人形に殺された父。人形作家でもある彼は、娘たちを殺した人形を破壊する。しかしそこで警察が駆けつけ、父親は娘殺しの容疑者として連行される。
この幕開け、人形がきれいで忌まわしく、実に耽美的なのだが、それからの展開がいま一つ。前述の通り、色んな要素を詰め込み過ぎ、どうも焦点がぼやけたようなストーリーになっている。冒頭の事件から数年後、エリザベート・バートリをテーマとした舞台が作られることになり、主役を目指す少女たちが集まる。エリザベート・バートリはもちろん人間が集まるのだが、その心を代弁する人形として、そう、あの人形が登場するのである。
もちろん惨劇が起こる。
平々凡々な映画だった。