FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

愛の亡霊/シャーロット・ラム

 当サイトでも二作目のハーレクインロマンスの感想である。作者は同じくシャーロット・ラム。今回は何気なく手にとったにも関わらず、かなりゴシックロマン風の作品だったので驚いた。
 若い女性エリザベスは、かつて才能ある画家デイミアンと交際していた。しかしデイミアンは恐ろしいほど嫉妬深く、いもしない浮気相手に嫉妬し、エリザベスを束縛しようとした(妄想付きの重たい愛、ほとんどヤンデレに足を突っ込んでいる)。別れたのち、デイミアンが事故死をしたと知るエリザベス。いてもたってもいられず、彼が生命を失ったフランスへと飛ぶ。
 そこで知り合った大富豪の男は、顔も名前もまったく別人であるにも関わらず、なぜかデイミアンを思わせ、既婚の身であるにも関わらず、エリザベスに求愛してくる。そしてその男自身も、そんな自分をいぶかしんでいる様子だった。
 エリザベスは戦慄する。自分に異様な執着を抱いていたデイミアンが亡霊として蘇り、大富豪の男性に取り憑いているのでは、と。
 ハーレクインロマンスの中でもゴシックロマン色、そしてサスペンス色が強い作品である。きちんと古城が舞台になっている。
展開の想像がややつきにくいし、(ロマンス小説的にはこちらの風が重要かもしれないが)ヒロインが、大富豪の男性か、それとも明朗快活でちょっと強引な上司のどちらかを選ぶかわからないからだ。
 ゴシックサスペンス、ロマンティックサスペンス好きにはちょいおすすめ。