失踪/ドン・ウィンズロウ
ものすごく久しぶりに読むドン・ウィンズロウ。めちゃくちゃ面白かった。この作品、2015年12月に角川文庫から『報復』と同時期に発売されたのだが、時期をずらして出版されていたならば、各種コンテストの上位入賞も狙えたはず。もしかしたら、コンテストに名前が出ずとも、十分に海外ミステリのファンの心を掴めると判断したのかも(そして心はしっかりと掴まれた)。
職を辞し、家庭を壊してさえ、幼女の失踪事件を追う刑事の硬骨漢ぶりと、謎解き、その双方がしっかりと楽しめる作品。
アメリカ中西部の平穏な町で、白人のシングルマザーに育てられている黒人の父親を持つ幼女ヘイリーが失踪した。誘拐であるならば、時間が経てば経つほどヘイリーが生きている可能性が低くなる。刑事デッカーは必死に捜査するが、なにもできないまま時間のみが流れていく。そして今度は白人の幼女が誘拐された。
デッカーはいなくなった子供を探す。どこまでも探す。やがて彼はあることから、ニューヨークへと流れ着いた。そして彼は人気ファッションモデル、シーと知り合う。年齢が一致しないのだが、シーはなぜか驚くほどヘイリーと似ていた。
主人公の無骨さと、謎とその真相、どちらもが魅力的。
2016年度に読んだミステリの中で、マイベストに食い込んでくるかもしれない。
『犬の力』で挫折して以来、離れていたのだが、またドン・ウィンズロウに戻ってこようと思う。
まごうことなき傑作。