FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

十二の贄/三津田信三

 ある意味でタイトルが最大のネタバレになっているような「死相学探偵」シリーズ5作目。シリーズとして巻数を重ねるにつれ、キャラクター小説としての色彩が強くなっており、読んでいてややむずがゆい。
 『禍家』や『凶宅』など少年主人公ものを思わせる作品だ。孤児として育った中学生の少年、悠真。彼はいきなり巨億の富を持つ大面グループの総帥の女性、祥子に引き取られる。待っていたのは7人の異母兄姉や5人の叔父や叔母。
 そして幸子な亡きあと悠真を巻き込んだのは、遺産相続に絡む争いだった。しかもそれぞれの取り分は、どの親族が死ぬかでだいぶ変わってくるのだ。当然凄惨な連続殺人が発生するのだが、犯人は悪い意味で意外な人間である。
 いや、この人が犯人でも構わないだが、それまでの描写からするといかにも唐突な印象を受ける。面白いシリーズだが、今回はややはずれ。
 

↑シリーズ1作目『十三の呪』と4作目『五骨の刃』がお勧め。