パーフェクト・メモリー/マイケル・ポーリッシュ監督
初めて見る監督の作品である。オチがすぐ分かるよ、と舐めた気持ちでいると、最後の最後で、意外な方角から飛んで来る矢に射られることとなる(というと分かってしまうだろうか)
冒頭で車で旅らしきものをしている男、女、少女。彼らが交通事故を引き起こし、男は大怪我を負い、少女は泣き叫ぶ。「パパ!」と。
次に目を覚ましたとき、男はすべての記憶を失っていた。いや、時折血を流した少女の顔が浮かぶ。妻だと名乗る上品な美女は、片足が不自由になった彼の世話を、献身的にしてくれた。
しかし、なにかがおかしい。怪我のため家のほとんど出られないのは仕方ないとしても、妻と名乗る女との会話はなにかかみ合わず、少女の記憶も彼を苦しめるのだ。
「『ミザリー』の二番煎じ」ではない。そう言った面もあるだが、それだけにはとどまっていない。
全体の淡々とした雰囲気と、「妻」の上品さ、古風な美しさがいっそうの恐怖をもたらしている。ミステリ映画ファン、ホラー映画ファンにちょっとお勧め。