グッドガール/メアリ―・クビカ
このところ、読むミステリに当たりが多く、とても嬉しい。
この『グッドガール』、「2015年に読んだミステリ」のベスト3には入らないが、ベスト5には入るだろう。
個人的には、誘拐絡みのある犯罪映画J・ブレイクソン監督『アリス・クリードの失踪』をふと思い浮かべた。
美術教師で、治安判事の娘ミアが失踪した。数カ月、無事に帰宅したのはいいが、なにか恐ろしいショックを受けたらしく、彼女は誘拐されている間の記憶の一切を失っていた。
ミアの母イヴ、誘拐事件の捜査を担当することになったゲイヴ、そして詳しい事情を知らないまま誘拐と監禁の実行を担当することになった犯人コリン、この三人の視点で物語は進んでいく。
黒幕は多分この人、という察しはつくのだが、それでもとても面白い。果たしてこの状況において、ミアの記憶を失わせるほどショッキングな出来事とはなんだったのか。
作者メアリ―・クビカはこれがデビュー作。次の作品が翻訳されるのが楽しみである。傑作。