FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

アリス・スウィート・アリス/アルフレッド・ソウル監督

 ジョン・ハンコック監督『呪われたジェシカ』と並んで見たい映画の一つだったので、今回のDVD化は本当に嬉しかった。画質が悪いという感想をしばしば見かけ、ちょっと不安だった。実際に画像はちょっと荒めだ。しかし雰囲気のあるスラッシャー映画である。
 特に殺人鬼の造形がいい。安っぽい白い仮面に、黄のレインコート。ことにこの惨劇の陰惨さと、それに似つかわしくない鮮やかな黄のレインコートの対比が印象に残る。
 愛くるしい妹カレンに、周囲の愛情を奪われたと感じている幼い少女アリス。ある日教会の中で、カレンが黄のレインコートの殺人鬼に殺され、柩に押し込まれ、遺骸に火を放たれる。この聖者たちの像に囲まれながら、仮面の殺人鬼が、白いドレスの美少女を殺すというシーンが迫力があっていい。
 疑いの目を向けられたのは、日頃からカレンを虐めてきたアリスだった。そして仮面をつけ、黄色いレインコートをまとった犯人は殺戮を繰り返す。
 犯人の正体を知った瞬間「この人だったのか、騙された!」と膝を打ったが、すぐに頭を抱えることになった。「あの犯人、あの動機なのに、被害者を殺す順番を間違えてないか。なんで本命をまったく襲撃しないの?」。
 まあこう言った疑問は浮かぶし、画像もやや荒いが、前述の通り殺人鬼の造形の良さ(そしてDVDの表紙の良さ)など美点も多い。秀作。