FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

警視の因縁/デボラ・クロンビー

 シリーズ第十三作目。翻訳ミステリが売れない時代において、翻訳ミステリのシリーズがここまで出版されるとはめでたいことである。
 本格ミステリと、コージーミステリの中間点にあるようなこのシリーズだが、今回は(今回も)色々と大変だ。主人公の一人ジェマは肉親のことで打撃を受けるし、頼れる友人ヘイゼルはトラブルの渦中にいる。正直言って、連続殺人事件よりもジェマやヘイゼルの私生活の方が気になったぐらいだ。
 幼い愛娘シャーロットを預けたまま行方をくらました英国人女性。そして妻を探す過程で、みずからも失踪したパキスタン人の夫。ジェマとキンケイドは調査を始める。
 訳者のあとがきで明瞭に書かれているよう、人身売買組織が絡んだミステリで、謎解きと真相についてはまあまあと言ったところ。シリーズ最高傑作の一つである『警視の偽装』と比べてはやや質が落ちる。