生け贄/鳥飼否宇
- ジャンル: 本・雑誌・コミック > 小説・エッセイ > ミステリー・サスペンス > ミステリー・サスペンス
- ショップ: 楽天Kobo電子書籍ストア
- 価格: 810円
2015年1月東京創元社から出版された『死と砂時計』も傑作だったが、同年3月に講談社から出版された<観察者>シリーズの一作、『生け贄』もなかなか面白い。今年の鳥飼否宇は良い。
<観察者>鳶山久志シリーズの一作である。ワトソン役の宿命とは言えよくよく猫田夏海はとんでもない事件に巻き込まれるものである。第21回「横溝正史ミステリ大賞」を受賞してデビューした作者らしく、横溝正史の世界を彷彿とさせるミステリだ。ただし作者が作者なので、当然生物が絡んでくる。
偶然負った怪我のため、高知の宗教施設に滞在することとなった植物写真家、猫田夏海。代々明神という旧家から教祖を輩出するその宗教は、タイガと呼ばれるアルビノの鮫を崇めていた。やがて明神家で傷害事件、殺人事件が発生する。
殺人事件の解決よりも「タイガ」様の正体当てに感心および恐怖を感じた。
秀作。