『悪魔の羽根』の解けない謎
ミネット・ウォルターズ『悪魔の羽根』を二度読んだが、よく分からない。
この物語の最大の謎として、「コニーとその協力者ジェスは、結局キース・マッケンジーを殺したのか」というものがある。
当方は二度読んだすえ、合っているかどうか分からないが、一つの結論を出した。しかしこの結論も危うい。
以下ネタバレになっていますので、未読の方はお気を付けください。
<結論>
コニーとジェスは、マッケンジーを死に追いやった。
コニーはマッケンジーをその場で殺害はしなかったものの、深い傷を負わせ、さらに詳しく言えば、彼がかつてアフリカの貧しい少女の売春婦の腕を折ったように同じ腕を切断した。
大怪我を負わされたマッケンジーはその場から逃げようとしてしくじったか、コニーとジェスに追いつめられ、崖から落ちた。コニーとジェスは切断した腕も崖から落とした。
<そう考える理由>
※447P、コニーと父親の会話 「われわれは勝ったか?悪魔は死んだ?」「完璧に死んだわ」「よかった」。マッケンジーの死について明白にコニーが口にしている。コニーの父は娘のため、マッケンジーをおびき出そうとし、かえってひどい暴力を振るわれている。
※物語の終末近く、コニーがマッケンジーの恐怖と復讐心をともに抱いていると知っている警察官が、『怪物と戦うと闘う者は、自らも怪物にならぬよう気をつけねばならない』というニーチェの言葉を引用するが、コーラは続けて『深淵をのぞきこむ者は、深淵からものぞき込まれている』と引用を返し、その言葉を「崖の端でふらふらしていたら、一歩さがれ」と自己流に言いかえる。
そしてコーラは、自分は一歩下がったが、マッケンジーはそこ(崖)から落っこちたの、と話す。
この「マッケンジーが崖から落ちた」というのは、「人としての一線を越えて殺人鬼になってしまったこと」と、言葉通りの意味で「崖からマッケンジーの肉体が落ちた」というダブルの意味があるのではないかと推察した。
しかしこれでは、大量に出ただろうマッケンジーの血をどうしたのだろう、という疑問が残る。ううん……。