FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

AFFLICTED アフリクテッド/クリフ・プロウズ 、 デレク・リー監督

 フェイクドキュメンタリーのホラー映画……それを聞くだけで顔をしかめるほどありふれた素材の映画である。このパターンはもう見飽きた、というホラー映画ファンも多いだろう。玉石混合、というよりはっきりと言えば石の方がはるかに多い作品群だが、中には光るものがある。
 このカナダ映画『AFFLICTED アフリクテッド』は傑作だとか秀作だとか言える映画ではないけれど、スルーしてしまうには惜しい、ちょっとした輝きがある。フェイクドキュメンタリーに、あるモンスターの悲哀を絡めた作品である。
 デレクと、その親友クリフは世界を回る旅に出ることとなった。デレクは脳腫瘍を患っており、死はそれほど遠い話ではない。しかし病院で日々を過ごすよりは、まだ見ぬ世界を回り、写真を撮り、旅の様子をブログにアップすることになった。パリで奇妙な事件に巻き込まれることもあったが、旅はおおもと順調に進んだ。
 しかしあるときより、デレクの様子がおかしくなる。普通の食事を受け付けなくなるのだ。最初は病状が悪化したのかと思い、現地の病院に入院させようとするが、デレクの腕力、走るスピード、運動神経は並ならぬものとなる。やがて事件が起きる。「死すべき運命にあったデレクが、銃で頭を吹き飛ばしても自害できぬ不老不死の生き物となってしまう」皮肉さが利いている。最後に彼はああやっていたが、これからは食事をするのも一苦労だろう。
 クリフ・プロウズ とデレク・リーは監督、脚本、主演を務めている。
 ちょっと良いホラー映画。