FAIRY TALE

ハンドルネームは八尾の猫です。耽美と翻訳ミステリが大好きです。旧ブログはhttp://d.hatena.ne.jp/hachibinoneko/、メールアドレスはaae22500@pop21.odn.ne.jpです。

貧乏お嬢さま、吸血鬼の城へ/リース・ボウエン

貧乏お嬢さま、吸血鬼の城へ (コージーブックス)

貧乏お嬢さま、吸血鬼の城へ (コージーブックス)

 「英国王妃の事件ファイル」シリーズ第四作目。四作目を読み始めて三作目をまだ読んでいないことに、いまはじめて気が付いた。お気に入りのシリーズだったのに。三作目を読んでいないのにこの判断を下すのは性急かもしれないが、シリーズタイトルになっている英国王妃は(色々と策謀を巡らせているとは言え)どんどん目立たなくなっていく。むしろ「貧乏お嬢さま」シリーズ名にした方が良かったのではないかと思うが、それではあまりに華がないか。
 シリーズ第一作目のタイトルは、『貧乏お嬢さま、メイドになる』だったが、四作目では『貧乏お嬢さま、メイドを雇う』になっている。ルーマニアの王族の結婚式に出席するため雇ったのだが、このメイドはなにかと不器用、不作法でよりも、公爵令嬢本人であるジョージ―本人の方がメイドの仕事がよっぽど上手そうだ。
 タイトルやあらすじから察して、ぶきっちょなメイドが一緒と言えども親しい人間が一人もいないルーマニアで、ジョージ―が孤軍奮闘する姿を思い浮かべていたが、レギュラーキャラクターが次々と押し寄せてくる……本当になぜか皆さんやってくる……ので少し気分が萎えた。相変わらず楽しい、若い女性の冒険物語だが、アウェイで戦うジョージ―の姿も見たかった。
 物語自体は相変わらず愉快だが、ルーマニアブルガリアの国家とその国民が今後どのように運命に呑み込まれていくかを考えると、やや暗澹とした気持ちになる。

貧乏お嬢さま、メイドになる (コージーブックス)

貧乏お嬢さま、メイドになる (コージーブックス)

貧乏お嬢さま、古書店へ行く (コージーブックス)

貧乏お嬢さま、古書店へ行く (コージーブックス)

貧乏お嬢さま、空を舞う (コージーブックス)

貧乏お嬢さま、空を舞う (コージーブックス)