いま見てはいけない/ダフネ・デュ・モーリア
正式なタイトルは、『いま見てはいけない デュ・モーリア傑作集』である。
話は少し変わるが好きな映画の一つに、ニコラス・ローグ監督『赤い影』がある。ヴェネチアを舞台にした不吉で妖しい映画なのだが、実のところあの結末が唐突すぎて良く分からないところがあった。『赤い影』の原作は、この短編集の表題作にしてトップバッターの「いま見てはいけない」なのだが、この作品を読み長年疑問に感じていたことが解決し、おかげでとてもすっきりとした気持ちになった。そして映画とはまた異なる不吉さと妖しさに陶然とした。
同じ不吉さと妖しさは、クレタ島を舞台にした「真夜中になる前に」にも漂っている。
タイトルに謳われている通り、妖美あり、苦いユーモアあり、驚きありの粒揃いの短編集だ。彼女の作品としてもっとも知られているのは、優美なゴシックロマン『レベッカ』であろうが、同じく東京創元社の『鳥―デュ・モーリア傑作集』、早川書房〈異色作家短篇集〉の10冊目『破局』とともにデュ・モーリアの多彩な魅力が楽しめる。
秀作。
- 作者: ダフネデュ・モーリア,Daphne du Maurier,務台夏子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2000/11/01
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- 作者: ダフネ・デュモーリア,Daphne du Maurier,吉田誠一
- 出版社/メーカー: 早川書房
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- 作者: デュ・モーリア,大久保康雄
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